「サスティナブル」や「SDGs」というワード、最近よく耳にするようになりましたね。
持続可能な○○、となんとなく聞いたことはあっても、具体的には何のことかよくわからない…という方、けっこういらっしゃるのではないでしょうか?
いまや環境問題を考えるときに避けては通れないキーワードです。
以前「海外の最先端スマートオフィス」をご紹介したときにサスティナビリティについて少し触れましたが、欧米を中心に企業でも積極的に「SDGs」の考えを取り入れており、CDP(*)やRobecoSAM(*)、EcoVadis(*)などのサステナビリティ評価機関の認定を受けることが主流となっています。
今回は「サスティナブル」や「サスティナビリティ」「SDGs」などの考え方や取組みを含め、簡単に解説していきたいと思います。
*CDP…カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(ロンドンの非営利団体)
*RobecoSAM…ロベッコサム(スイスの国際投資会社・サステナビリティサービス部門)
*EcoVadis…エコバディス(フランスのサステナビリティ・サプライチェーン評価機関)
「サスティナブル」「サスティナビリティ」とは?
「サスティナブル」とは直訳すると「持続可能な」、「サスティナビリティ」は「持続可能性」という意味です。おもに環境問題を考えるときに使われています。ずっとこの先も自然環境を損なうことなく、豊かな社会生活を送るために持続可能な取組みを行っていこう!という理念から使用されるようになりました。
「サスティナブル」は、サスティナブルな社会、サスティナブルなファッション、サスティナブル投資など、多くはビジネスシーンで使われ、ニュースなどでも度々話題になっていますよね。
また「サスティナビリティ」は、主に健康や社会に配慮したライフスタイルについて使われます。私たちがすでによく知っている「ロハス」の「ス」はSustainabilityの頭文字「S」からきているんですよ。
「SDGs(エスディジーズ)」とは?
「SDGs」は「Sustainable Development Goals(サステイナブル・ディベロップメント・ゴールズ)」の略で「持続可能な開発目標」という意味です。社会生活の豊かさを追求しつつ、地球環境保全を両立し、貧困や飢餓、衛生などを含めた様々な課題に取り組む活動をいいます。
「SDGs」の前身は「MDGs(ミレニアム開発目標)」という国連による取り組みで、おもに発展途上国の社会開発を目的とした専門家達による非公開の会議によるものでした。それをさらに進化させた取組みが「SDGs」です。2015年の国連サミットで193カ国の首脳の参加により採択されました。「MDGs」よりもさらにオープンに、対象を途上国から先進国にまで広げ「誰一人取り残さない」ことを合言葉に、世界中の国々が2030年までに達成すべき17の目標と169の達成基準、232の指標を掲げています。
「SDGs」にはどのような目標がある?17つの目標とは
①貧困をなくそう ②飢餓をゼロに ③すべての人に健康と福祉を ④質の高い教育をみんなに ⑤ジェンダー平等を実現しよう ⑥安全な水とトイレを世界中に ⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに ⑧働きがいも経済成長も ⑨産業と技術革新の基盤をつくろう ⑩人や国の不平等をなくそう ⑪住み続けられるまちづくりを ⑫つくる責任 つかう責任 ⑬気候変動に具体的な対策を ⑭海の豊かさを守ろう ⑮陸の豊かさも守ろう ⑯平和と公正をすべての人に ⑰パートナーシップで目標を達成しよう
これらのSDGs達成値は軒並みヨーロッパが高く、スウェーデン・デンマーク・フィンランドなどの北欧勢が強いです。日本は17の目標をある程度は達成できているのでは?と思いましたが、達成値ランキング17位でした。(ちなみにアジア中1位)。これらの目標に特に規制や罰則はありません。範囲も広いため個々の国々の状況に応じた努力目標となっているようです。
日本企業の取組み
世界的にみてサスティナブルな企業に投資することは、いまやトレンドになっています。企業のSDGsへの貢献度が株価に直結する傾向が強くなっていますし、なにより投資家や環境問題に関心の高い層の要望からみても、今後は大手企業のみならず非上場の中小企業でも「SDGs」を取り入れることは重要課題となってくるといえます。
日本でもグローバル企業をはじめ数々の企業がサスティナブルな取組みを発表しています。
「トヨタ自動車」
トヨタ自動車では2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」という長期目標を発表しました。2050年までに達成すべき「6つのチャレンジ」、車や工場のCO2ゼロなど6つの取組みを打ちたて、話題になりました。
出典: トヨタ自動車「トヨタ環境チャレンジ2050」
URL: https://global.toyota/jp/sustainability/esg/challenge2050/
「ソフトバンク」
「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、SDGsを経営戦略と整合させた取組み「SDGs Compass(エスディジーズ コンパス)」を参照しており、5つのステップを定め実践しています。
2019年に内閣府が発足した「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」にも参加しています。
出典: ソフトバンク「SDGsへの対応」
URL: https://www.softbank.jp/corp/sustainability/sdgs/
「NECネッツエスアイ」(情報通信業)
「SDGs」と同じ方向性を持つ「NECネッツエスアイグループ宣言」をもとにして、SDGs目標⑨「産業と技術革新の基盤をつくろう」に重点を置き、目標⑧「働きがいも経済成長も」、⑪「住み続けられるまちづくりを」、⑦「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」等の実現に取り組んでいます。また③⑤⑫⑯などの取組みも進めています。
出典: NECネッツエスアイ「NECネッツエスアイグループのSDGsへの取り組み」
URL: https://www.nesic.co.jp/corporate/nesicgroupsdgs.html
「サントリー」
企業理念「人と自然と響きあう」の実現に向けたサステナビリティの重要テーマとして、目標⑥「水・衛生」、目標③「健康・福祉」、目標⑫「責任ある生産・消費」、目標⑬「気候変動」の4つに取り組んでいます。とりわけ重要な原料である水のサステナビリティには、「水と生きる」を約束に、最優先で取り組んでいます。
出典: サントリー「サントリーグループのサステナビリティ」
URL: https://www.suntory.co.jp/company/csr/philosophy/
このほかにも沢山の日本企業がSDGsの取組みを発表しています。企業はそれぞれの業態や企業理念に合ったSDGs目標の選択をし、最重要項目として掲げているようですね。調べてみると、サスティナブルとうたう以前から環境問題に取り組んでいる日本企業はたくさんあるのだと感心しました。このように持続可能な社会をめざしていくことが、企業として存続していくことに繋がるのかもしれません。